2019年06月15日号
次回7月1日更新予定

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アンチ・フォーム

Anti Form

鉛、フェルト、ゴム、ラテックスなどを素材として物質の可塑的な段階を強調し、不定形な揺らぎや作品の身体的な諸効果を意識した1960年代後半の美術作品の傾向のこと。同じ傾向の作品についてロバート・モリスが理論的に解説した68年の論考のタイトルとしても知られる。この論考でモリスは、従来の伝統的な彫刻が最終的に形式化される「もの(things)」を対象としていたのに対して、アンチ・フォームを形成する作品群にあっては形相に対する質量である「素材(material)」や素材が何らかの変化の途上において形成される「プロセス」が可視化されると述べる。同時期にモリスが制作したフェルトの立体作品はこの自身の言明を裏付けるものであり、そこではフェルトという素材が重力によって垂れ下がり、流動的で非定量的な物質の質量性が、素材の生々しい現実を観者に知覚させることに寄与していた。こうした作品の多くはポスト・ミニマリズムの作家たちによって担われ、ミニマリズムの作品のリジッドな見かけに対する別の道筋を示すものであったが、ミニマリズムの作家としての活動期にモリスが展開した作品と空間との結びつきや時間性の導入などの問題設定を引き継ぐものでもあった。

著者: 沢山遼

参考文献

  • Continuous project altered daily: the writings of Robert Morris, “Anti Form”, Robert Morris, MIT Press, 1993

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