2019年06月15日号
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アンティミスム

Intimisme(仏)

室内風景や家庭生活などの身近な題材に個人の内的な感覚を反映させ、情感あふれる描写で表わす絵画の傾向。親密派とも言う。フランス語の形容詞「アンティーム(intime)」の派生語から名付けられた。もともとの語の意味は以下の二つ。(1)物や精神の深奥にあること。(2)人と人、物と物の関係性や結合が親密であること。特定の流派についての用語ではなく、はじめは文学の領域で、その後まもなく同時代の絵画に適用される概念となり、1890年代には批評家のC・モークレールが明確な定義を下した。美術に関して言えば、アンティミスムの源流はシャルダン、ジャン=フランソワ・ミレー、あるいはフェルメールをはじめとするオランダ・フランドルの室内画、17世紀フランスの風俗画などに見出せるが、本格的な興隆は19世紀末のフランスにおいてのことである。この時期のフランスでは、室内空間や装飾趣味、個人の内面を告白する場としての日記など、外界を遮断した私的な領域への関心が高まっており、アンティミスムの絵画に主題や表現面で影響を与えたと考えられる。代表格はナビ派のM・ドニ、P・ボナール、E・ヴュイヤールなど。彼らより世代が上の画家だが、母子像を得意としたE・カリエールの絵画もアンティミスムの系譜に加えることができる。

著者: 中島水緒

参考文献

  • 『装飾/芸術 19-20世紀フランスにおける「芸術」の位相』, , 天野知香, ブリュッケ, 2001
  • 『日常の小さな幸せ アンティミストの世界』, , , 埼玉県立近代美術館, 1989

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