2019年06月15日号
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イデオロギー

Ideology

「理念」や「観念」を意味するideaに由来する言葉であり、ある個人や社会集団によって共有される思想、信条、世界観などを意味する。正確に対応しうる日本語訳が存在しないため、現在にいたるまで「イデオロギー」とカタカナ表記されるのが通例となっている。

今日における「イデオロギー」という言葉は、もともとマルクス+エンゲルスの『ドイツ・イデオロギー』(1845-46)にまでさかのぼる。同書のなかで、マルクスとエンゲルスは「観念における闘争」と「現実における闘争」の転倒を批判して、これを「イデオロギー」と呼んだ。さらにその後マルクスは、観念の形態一般を指して「イデオロギー」という言葉を用いるようになるが、今日の「イデオロギー」の起源はむしろこの後者の方にある。19世紀から20世紀にかけてのマルクス主義の隆盛にともない、「イデオロギー」という言葉も(政治ばかりでなく)あらゆる分野で広く用いられるようになった。なかでも特筆すべきは、フランスの哲学者ルイ・アルチュセールによるイデオロギー論である。アルチュセールは、人間の主体化はそもそも何らかのイデオロギーによって可能になっているのであり、われわれはこうしたイデオロギーから完全に逃れ去ることはできないと考えた。このアルチュセールの議論は、それまで主にマルクス主義の枠内で論じられていた「イデオロギー」概念を大きく拡張し、文学理論や芸術理論をはじめとする他分野にも多大な影響を及ぼした。

著者: 星野太

参考文献

  • 『再生産について──イデオロギーと国家のイデオロギー諸装置』, ルイ・アルチュセール(西川長夫ほか訳), 平凡社ライブラリー, 2010
  • 『新編輯版 ドイツ・イデオロギー』, マルクス+エンゲルス(廣松渉編訳、小林昌人補訳)2002年, 岩波文庫, 2002

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