2019年09月15日号
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イリュージョン

Illusion

二次元平面に描かれた絵画が、三次元的な奥行を持った空間として観者に意識されるとき、そこにはイリュージョンが成立していると見なされる。言い換えれば、イリュージョニズムとは、絵画に「虚」の実在性を与えるものであり、クールベやマネらの、絵画の物理的な現前性と描かれた対象との実在性が相関関係にあるイリュージョニズムや、モネによる、必ずしも遠近法的な奥行をもたらさないイリュージョニズム、特定の対象を表象しない抽象表現主義のイリュージョニズム、オプ・アートやスーパーリアリズムの錯視効果など、イリュージョニズムのさまざまな様態を列挙することができる。遠近法や明暗法はこの空間認識をもたらすための技法の一種であり、「写実的」な絵画と形容されるものは、その錯覚の効果を高めたものであることが多い。もちろん遠近法などは、歴史的・制度的・数学的に構築された「技術」のひとつであり、私たちの視覚的な現実と必ずしも重なり合うわけではない。だが、美術作品の視覚的な作用に着目したH・ヴェルフリンらの美術様式論では、時代に応じた視知覚と絵画様式との並行性が指摘され、また20世紀の認知心理学でもしばしば絵画作品のイリュージョニズムが参照される。

著者: 沢山遼

参考文献

  • 『芸術と幻影:絵画的表現の心理学的研究』, , E.H.ゴンブリッチ(瀬戸慶久訳), 岩崎美術社, 1979
  • 『棒馬考 : イメージの読解』, , E.H.ゴンブリッチ(二見史郎ほか訳), 勁草書房, 1994
  • 『イメージと目』, , E.H.ゴンブリッチ(白石和也訳), 玉川大学出版部, 1991
  • 『〈象徴形式〉としての遠近法』, , エルヴィン・パノフスキー(木田元ほか訳), 筑摩書房, 2009
  • 『グリーンバーグ批評選集』, , クレメント・グリーンバーグ(藤枝晃雄編訳), 勁草書房, 2005

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