2019年10月15日号
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インストラクション

Instruction

文章による指令によってパフォーマーあるいは観客の行為をうながすパフォーマンスの一方法。発端にあるのは創造行為において観客の存在を重要視するマルセル・デュシャンの考えであり、また《4分33秒》(1952)などの作品にみられるジョン・ケージのスコアに対する考えである。ケージの作品において、スコアは作品の完成図を示しているというよりも、スコアに従う者の行為をたんに指示するだけであり、ゆえに行為の結果は不確定のままになっている。パフォーマーは、インストラクションに従っている最中、なにが起こるかあらかじめ予測できない場合が多く、作品は個々の観客の体験のなかで形成されるほかない。そうした例のひとつに、蝶をパフォーマンスの空間に放って、窓やドアから出ていくまで作品を続けるというインストラクションの作品であるラ・モンテ・ヤングの《コンポジション1960 #5》(1960)がある。また、インストラクションは観客に向けられる場合もある。オノ・ヨーコの諸作品、例えば《釘を打つための絵》(1961)では、ハンマーの付いた白い板に観客が釘を打ちこむよううながされた。またオノの著書『グレープ・フルーツ』(1964)に収められた諸々のインストラクションのように、文章による指令のみが与えられ、その具現化は読み手の行為あるいは想像の内に委ねられる作品もある。

著者: 木村覚

参考文献

  • 「Yesオノ・ヨーコ」展カタログ, 朝日新聞社, 2003
  • Grapefruit: A Book of Instruction + Drawings, Yoko Ono, Simon & Schuster, 1964
  • Words to Be Looked At: Language in 1960s Art, Lid Kotz, The MIT Press, 2007

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