2019年09月01日号
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インターメディア

Intermedia

1950-60年代に発生した、さまざまなメディアのあいだを横断するような芸術運動のこと。ディック・ヒギンズによれば、この動向は50年代のアラン・カプローらの試みを嚆矢としている。カプローは作品と観客の関係を変化させ、作品が観客を包摂する「環境」を作り出した(ハプニング)。また、演劇の領域において時間とシークエンスが宙吊りになった手法を取る者が現われ、音楽の領域からも同質の動きが現われてくる。そしてハプニングは、インターメディアと呼ばれる、諸メディアのあいだにある未踏の領域として発展する。それは場合に応じて、メディアと形式を決定する。これはミクストメディアとは異なるものであり、例えば視覚詩や音声詩のような、既存のメディアが概念的に溶け合わされることで、その作品の本質を成すような領域を指すものである。ヒギンズが述べるような芸術の「環境化」については、同時代の広範な領域の芸術家が関心を示しており、インターメディアはさまざまなメディアの中間において芸術を生成する試みとなってゆく。映画に引きつけて述べるならば、エクスパンデッド・シネマもこの運動の一部であったといえるだろう。
このようなインターメディアの運動が、アート・アンド・テクノロジーの試みと一体化したイヴェントとして、66年の「九つの夕べ 演劇とエンジニアリング」が挙げられ、これを契機として、同年E.A.T.が設立された。日本国内では、50年代に実験工房が領域横断的かつ先駆的な活動を見せていたが、66年に「空間から環境へ」展が開催され、「環境」への関心は高まりを見せる。69年に代々木体育館で「クロス・トーク/インターメディア」が開催され、3日間に及ぶイヴェントのなかで、松本俊夫、スタン・ヴァンダービーク、湯浅譲二、武満徹、松平頼暁、グループ音楽、ジョン・ケージなどの作品が上演された。その延長線上に70年の大阪万国博覧会は位置しており、山口勝弘(三井グループ館)、松本俊夫(せんい館)、中谷芙二子&E.A.T.(ペプシ館)など、インターメディアの試みにおけるテクノロジーの導入が、国家的な文化事業のレヴェルで達成されることになる。

著者: 阪本裕文

参考文献

  • 『インターメディアの詩学』, ディック・ヒギンズ, 国書刊行会, 1988
  • 『E.A.T. 芸術と技術の実験』, NTTインターコミュニケーションセンター編, NTT出版, 2003

参考資料

  • 『Variations VII』, John Cage, Microcinema, DVD, 2008
  • 『Bandoneon!』, David Tudor, Microcinema, DVD, 2010
  • 『Open Score』, Robert Rauschenberg, Microcinema, DVD, 2007

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