2019年08月01日号
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オートクチュール

Haute Couture(仏)

高級仕立服のこと。オートクチュールの歴史は、1858年にイギリス出身のシャルル=フレデリック・ウォルトがパリに店を開いたときに始まった。それ以前は、一定の流行に従いながらも、個々の顧客の要望に添うかたちで衣服が仕立てられていたが、ウォルトは季節ごとにモデルを使い、自分のデザインした新作を発表するという近代的なファッション・システムを確立した。以後、ウォルトに続くデザイナーが次々に登場し、19世紀末から1920年代にオートクチュールの黄金期が築かれた。また、1868年に発足した婦人服製造業の組合が1911 年に改組され、パリ・クチュール組合(通称サンディカ)がつくられる。このとき、メンバーの加入条件やパリ・コレクションの開催、デザインの盗作防止に関する規定が定められ、現在の組合の基礎が築かれた。その後、世界大恐慌や第二次大戦の影響で、オートクチュールは存続の危機に瀕するが、戦後、才能あるデザイナーが相次いで登場し、50年代から60年代に再びオートクチュールに栄光の時代が訪れた。しかし、その背後で既製服産業が急速に成長し、70年代にはついにオートクチュールを頂点とするヒエラルキーが崩壊した。以後、モードの主体はプレタポルテ(高級既製服)に移り、オートクチュールは年々、規模を縮小させている。しかし、ファスト・ファッションが浸透し、服が使い捨てとなった今日、最高の技術と素材で生み出されるオートクチュールの可能性があらためて問われ、毎年1月と7月に開催されるコレクションは大きく注目されている。

著者: 朝倉三枝

参考文献

  • 『パリ・モードの200年 18世紀後半から第二次大戦まで』, 南静, 文化出版局, 1975
  • 『パリ・コレクション モードの生成・モードの費消』, 深井晃子, 講談社現代新書, 1993
  • Histoires de la mode, Didier Grumbach, Regard, 2008

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