2019年08月01日号
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オートポイエーシス

Autopoiesis

チリ出身の生物学者であるH・マトゥラーナとF・ヴァレラが論文「オートポイエーシス 生命の有機構成」(1973)において提唱した概念。これはギリシャ語の「自己(auto)」と「制作(poiesis)」を組み合わせた造語であり、外部環境に依存しない自己決定的なシステムとしての「生命」の記述を目的とする点にその特色がある。マトゥラーナとヴァレラにおける「オートポイエーシス」は、もともと細胞・免疫・神経システムなどの生命活動を記述するための限定された用語にすぎなかったが、のちにN・ルーマンがこれを社会システム理論に応用したことで、本来の生物学的な含意を超えて広く人口に膾炙することになる。日本におけるオートポイエーシス理論の代表的な紹介者である河本英夫によれば、マトゥラーナ+ヴァレラのオートポイエーシス理論はその完成度の低さゆえに、かえって社会学、認知科学、法社会学、精神医学などに広く伝播したとされている。芸術理論もそうした展開の例外ではなく、前出の河本はオートポイエーシスの理論を用いながら荒川修作、勅使河原三郎、J=L・ゴダールらの作品を論じている。

著者: 星野太

参考文献

  • 『オートポイエーシス 生命システムとはなにか』, マトゥラーナ+ヴァレラ(河本英夫訳), 国文社, 1991
  • 『オートポイエーシスの拡張』, 青土社, 河本英夫, 2000
  • 『オートポイエーシス 第三世代システム』, 青土社, 河本英夫, 1995

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