2019年08月01日号
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オートマティスム/オートマティズム

Automatisme(仏), Automatism(英)

1920年代にシュルレアリストが提示した芸術的手法および創作理念で、「自動記述」、「自動現象」などと訳される。24年の「シュルレアリスム宣言」でアンドレ・ブルトンはこの方法を「理性によって行使されるどんな統制もなく、美学上ないし道徳上のどんな気づかいからもはなれた思考の書き取り」とした。オートマティスムは元来、自動的、反射的な身体の反応を指す生理学・精神医学用語だった。ブルトンは、19世紀の心理学者が行なった催眠やフロイトの自由連想といった臨床学的方法を、「無意識」を表出させ、未知の創造的力を引き出す芸術の手法に援用できると考えた。シュルレアリストはそれに応え、偶然の効果を定着させるマックス・エルンストのフロッタージュやグラッタージュ、薬物や飢えによって人為的にトランス状態を作り出すアンドレ・マッソンの創作方法や、夢からイメージを得るジョアン・ミロの「夢の絵画」など幅広い試みが行なわれた。だが、文学的自動記述の直接性に対し、絵画はイメージに変換する際に意識が介在せざるをえないとも言われ、シュルレアリストから後にトロツキストへと転向するピエール・ナヴィルは25年に、絵画のオートマティスムは不可能であると述べている。それでもオートマティスムは、20世紀半ば、米国の抽象表現主義やヨーロッパのアンフォルメルなどの絵画運動に深い影響を与え、ジャクソン・ポロックらの「アクション・ペインティング」が生み出されるきっかけを与えた。

著者: 中嶋泉

参考文献

  • Manifeste du surréalisme, André Breton, Éditions du Sagittaire, 1924
  • La Révolution surréaliste n°1, “Les Yeux enchantés”, Max Morise, 1924
  • La Révolution surréaliste n°3 , “Beaux-Arts”, Pierre Naville, 1925
  • Surrealism USA, Isabelle Dervaux, National Academy Museum, 2005
  • Historical dictionary of surrealism, Keith Aspley, Scarecrow Press, 2010

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