2019年12月01日号
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カナダ国立映画制作庁

National Film Board of Canada

1939年、モントリオールに設立された、資本主義圏では珍しい国営の映画スタジオ。通称NFB。初代長官ジョン・グリアソンの指導のもと、大戦期を背景にプロパガンダ作品を製作する一方、映画大国アメリカが隣国にあるというロケーションから、市場では受け入れられにくいドキュメンタリーと短編アニメーションを中心的に手掛ける。アニメーション部門は41年のノーマン・マクラレンの入所とともに始まったが、資本主義圏の商業スタジオおよび共産主義圏の国営スタジオが多くのスタッフを動員する分業制による制作を行なっていた一方で、NFBにおいては個人作家を中心とした小規模プロジェクトによる作品制作の伝統が守られた。英語とフランス語がカナダの公用語であることからすべての作品のクレジットは両国語が記されている。66年にはルネ・ジョドワンによってフランス語部門が設立された。国営スタジオでありながらスタジオ専属作家の国籍はカナダ人に留まらず、70年代には、キャロライン・リーフ(アメリカ)、イシュ・パテル(インド)、コ・ホードマン(オランダ)をはじめとした国際色豊かなラインナップによって黄金期を迎えた。しかし、近年になって財政難から専属作家の制度を廃止、以後は作家とのあいだで一作品ごとの契約を交わすかたちに移行した。また、国内作家の育成に重点を移し、カナダ国籍を持たない作家については、国際的な映画祭シーンにおいて名の知れた作家のみ、国際共同制作というかたちで制作に携わることになった。国内作家に対しては、カナダ人作家の短編作品の制作はもちろん、美術大学生対象の制作体験プログラム「ホットハウス」など若手の育成・支援プログラムや、商業スタジオとのあいだで共同制作を行なったりするケースも増えてきた。日本人としては山村浩二が『マイブリッジの糸』(2011)で初めてNFBで作品制作を行なった。オンライン上でのアーカイヴの試みにも積極的で、公式サイト上ではNFB製作の多くの作品が全編視聴可能となっている。2012年からは一部作品のダウンロード販売も開始された。

著者: 土居伸彰

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