2019年12月01日号
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カロタイプ

Calotype

イギリスのウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットが考案し、1841年に特許を取得した技法で、発明者の名にちなんで「タルボタイプ」とも呼ばれる。硝酸銀を塗って感光性を与えた紙ネガをカメラの中に入れて撮影する。「カロ」はギリシャ語の「Kalos(美しい)」を語源とした造語。ダゲレオタイプは一度の撮影で一点限りのポジ像しか得られないが、カロタイプはロウで半透明にした紙ネガをもう一枚の印画紙と重ね合わせて感光させることで、複数のポジが得られる世界初のネガ・ポジ法であり、ダゲレオタイプのように左右逆像にもならない。ちなみに「ネガ(陰画)」と「ポジ(陽画)」という言葉を考案したのはタルボットの協力者であった科学者のジョン・ハーシェルとされている。35年にすでに独自の写真術を成功させていたタルボットは、ダゲレオタイプ発明の報を聞き、39年1月31日にロンドン王立協会で自分こそが写真術の最初の発明者であることを主張、後にカロタイプへ発展する「フォトジェニック・ドローイング」を発表する。カロタイプは紙を支持体とするために像の耐久力や精巧さにおいてダゲレオタイプよりも劣っていたが、紙の繊維が光を拡散させて芸術的効果を生んだ。また、金属板であるダゲレオタイプよりも軽くて扱いやすいため撮影旅行にも重宝され、イギリスやフランスを中心に改良が進んだ。その後60年を過ぎるとフレデリック・スコット・アーチャーが公開したコロディオン法に駆逐される。

著者: 小原真史

参考文献

  • 『星を追い、光を愛して 19世紀科学界の巨人、ジョン・ハーシェル伝』, ギュンター・ブットマン(中崎昌雄、角田玉青、日本ハーシェル協会訳), 産業図書, 2009
  • 『光の自然』, 杉本博司, IZU PHOTO/NOHARA, 2009

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