2019年06月15日号
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キッチン・シンク・リアリズム/キッチン・シンク派

Kitchen Sink Realism/Kitchen Sink School

1950年代のイギリスにおいて、演劇、美術、小説、映画、テレビ劇など広い文化領域で起こった文化動向の総称。同時期に現われた一群の反体制的な若手小説家や劇作家、いわゆる「怒れる若者たち(Angry young men)」とシンクロした動向で、主に労働者階級の苦境を描く社会派リアリズムの手法によって、とりわけ家庭内の生活状況に焦点を当てる点で共通する。映画、演劇、小説ではしばしばイギリス北部の貧困地域を舞台とし、登場人物のスラングまじりの荒っぽい会話に特徴がある。「怒れる若者たち」の由来にもなったJ・オズボーンの1956年の戯曲「怒りを込めて振り返れ」はその代表作。もとは54年に美術批評家のD・シルヴェスターが、J・ブラットビー、D・グリーヴス、J・スミス、E・ミドルディッチらロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)卒業生の、日用品や消費財など殺風景な画題をあえて選んだ絵画群に対して命名した用語であった。「キッチン・シンク」の名称は、特にブラットビーの、台所の流しを描いた作品に由来するとされる。明るい若者文化が花開く60年代以前の冷戦下のイギリスの社会、文化状況を端的に物語るタームといえよう。

著者: 成相肇

参考文献

  • British Social Realism in the Arts since 1940, , edited by David Tucker, Palgrave Macmillan, 2011

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