2019年10月15日号
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グラデーション

Gradation

ぼかし、階調。絵画、写真、印刷、モニター出力などにおいて、彩度や明度、濃淡などが一方から他方へと漸次的に移行していること。またはそのように表現する手法。同じく「階調」と訳される類語に「トーン(tone)」があるが、色や音の質・調子を広く指す「トーン」に対して、「グラデーション」は変化に着目した語である。境界を持たず滑らかに移行する場合と、段階的に変化する場合がある。写真分野では、フィルムや印画紙の質、現像過程が階調の出方に影響するため、グラデーションがプリントの質を判断する基準になることもある。互いに独立した色面を隣り合わせる方法と比べると、中間色の細やかなグラデーションは穏やかな印象を与える効果を持つ。また中間色を明確に分節しがたいグラデーションは、移り行き、生成、変化といった時間感覚を見る者に与える。静止した状態で色彩を分析する光学に対し、他の色との関係や変化といった有機的側面から色彩を捉えようとしたのはゲーテだが、グラデーションをグラデーションとして知覚することは、色彩の有機的な生成に立ち会うことと同義であるともいえよう。

著者: 成相肇

参考文献

  • 『色彩論』, , J・W・V・ゲーテ(木村直司訳), ちくま学芸文庫, 2001

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