2019年06月15日号
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グルッポT

Gruppo T(伊)

1959年にイタリアのミラノで結成されたキネティック・アートのグループ。グルッポTの「T」はイタリア語の「tempo(時間)」の頭文字から取られた。結成時のメンバーはブレラ美術アカデミー出身のジョヴァンニ・アンチェスキ、ダヴィデ・ボリアーニ、ジャンニ・コロンボ、ガブリエーレ・デ・ヴェッキ。彼らは同校教授のL・フォンタナ、40年代からモーター駆動によるキネティックな作品を手掛けていたB・ムナーリ、ミラノにおける抽象美術のグループ・MAC(具体美術運動)など前世代の実験の成果を吸収するほか、さらに歴史を遡って未来派や構成主義の美学も取り入れ、観賞者の能動的な参加を促すインタラクティヴ・アートの先駆けとも言うべき作品を生み出した。最大の関心事は、時間のなかで運動を伴い変化する色、形、光を表現することであり、電気モーター、ゴム、磁石、ストロボ・ライト、ヘリウム・ガスなど、工業製品をはじめとする多様な素材を積極的に用いた。59年にグループの宣言を発表。翌年のミラノにおけるグループ展「ミリオラマ1」展を皮切りに、ジェノヴァ、ローマ、パドヴァ、ヴェネツィアなど各地で展覧会を行なう。61年にはムナーリの紹介でグループの存在を知った瀧口修造がオーガナイザーを務め、東京・南画廊で「ミリオラマ9」展が開催された。グルッポTのメンバーは個人名義だけでなく、共同製作による作品も多く発表した。当時のイタリア美術は前世代のアンフォルメルをいかに超克するかを課題としていたが、グルッポTはこの課題を見事に果たし、60年代のイタリア美術界に新風を巻き起こした。その他、第4回サン・マリノ・ビエンナーレ(1963)、「アルテ・プログランマータ」展(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート、1964)、第32回ヴェネツィア・ビエンナーレ(1964)などに参加し、国際的に活躍した。近い問題系を追求した同時代のグループに、デュッセルドルフのグループ・ゼロ、パリの視覚芸術探求グループ(GRAV)、イタリア国内ではパドヴァのグルッポN、ローマのグルッポ1が挙げられる。

著者: 中島水緒

参考文献

  • Gli ambienti del Gruppo T: le origini dell' arte interattiva, , , Silvana Editoriale, 2006
  • 「ジャンニ・コロンボ イタリアの前衛美術 移動する空間」展カタログ, , , 草月会, 1999
  • 『アヴァンギャルド芸術論 アヴァンギャルドおよびネオ・アヴァンギャルド芸術入門』, , ジョルジョ・デ・マルキス(若桑みどり訳), 現代企画室, 1992
  • 『キネティック・アート Arte cinetica e programmata in Italia 1958-1968』, , アートプランニングレイ, 2014-2015,

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