2019年12月01日号
次回12月16日更新予定

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コンピュータ・アート

Computer Art

現在のメディア・アートやデジタル・アートに繋がる制作過程にコンピュータを使用した作品およびその方法。当初コンピュータを用いて作品をつくることは、プログラムをつくることと同義であり、作品の「美」を構成するアルゴリズムを考えることにほかならなかった。それは人間の創造過程を解明しコンピュータに置き換えるというある意味AI(人工知能)的な哲学を伴って始まり、C・シャノンの情報理論をふまえたM・ベンゼの「情報美学」に帰結する。この系譜から、詩やテキストの領域のN・バレストリーニ、音楽のL・ヒラー&L・アイザックソン、グラフィックのK・ツーゼ、G・ネース、F・ナーケなどコンピュータ・アートのパイオニアたちが誕生した。この時期(1950年代-60年代)の作品は、(1)例えば作曲の和音結合などの基本ルールをプログラムするモデルと、(2)遷移確率やモンテカル法による「確率モデル」に大別できる。また、過去の名作の構成要素をデータとしたヴァリエーション展開も試みられた。1968年の「サイバネティック・セレンディピティ」(ICA、ロンドン)は初期コンピュータ・アートを総括する展覧会となったが、70年代以降のハードウェアとパッケージソフトの普及は、コンピュータを単なるCG制作ツールに陥れる原因ともなった。昨今のオープンソースの潮流はProcessingやopenFreamworksなどの簡便かつ高機能なプログラミング環境を提供し、フィジカル・コンピューティングとも相まって初期コンピュータ・アートの多様性とアルゴリズムの再評価にも繋がっている。

著者: 大泉和文

参考文献

  • 『情報美学入門』, マックス・ベンゼ(草深幸司訳), 勁草書房, 1997
  • 『情報・コンピュータ・芸術』, ジョン・R・ピアース(白井良明訳), ダイヤモンド社, 1969
  • 『コンピュータと美学』, 川野洋, 東京大学出版会, 1984
  • The Computer in Art, Jasia Reichardt, ed., Studio Vista, 1971
  • Computer Graphics - Computer Art, Herbert W. Franke, Springer, 1971

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