2019年06月15日号
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ザグレブ派

Zagreb School(英),Zagrebačka škola(クロアチア)

1950年代後半から国営の映画スタジオ「ザグレブ・フィルム」を中心に制作され、世界的な評価を受けたクロアチアのアニメーションの総称。クロアチアでは諷刺画やイラストレーションの伝統を背景として40年代後半から次第にアニメーション制作が盛んになりはじめた。53年に設立されたザグレブ・フィルムでは、56年にデュシャン・ヴコティッチらの先導によりアニメーション部門が設立された。以前よりアニメーション制作を行なっていたヴァルテル・ノイゲバウエルなども招聘され、ザグレブ・フィルムは、クロアチアにおけるアニメーション制作の一大拠点となった。50年代は世界各国で生まれた多種多様なアニメーションが注目を浴びた時期であったが、クロアチアのアニメーションも例外ではなく、カンヌ国際映画祭での大々的な紹介などをきっかけとして、映画史家のジョルジュ・サドゥールや批評家のアンドレ・マルタンらが使い始めた「ザグレブ派」という名称が、同国からの新しいアニメーション表現を指す言葉として定着するに至った。「ザグレブ派」は当時の世界的な潮流でもあったリミテッド・アニメーションを用い、諷刺画的なユーモアや前衛表現への志向性が見られるなど共通する特徴もあるが、必ずしもそれにすべての作品が当てはまるわけではなく、むしろザグレブ・フィルムに関連するアニメーション作家・作品全般を指すものと考えるほうが適切である。代表的な作品として挙げられるのは、アメリカ作品以外で初めてアカデミー賞カートゥーン部門(後に短編アニメーション部門に改称)を受賞したヴコティッチの『代用品』(1961)やズデンコ・ガスパロビッチ『サティマニア』(1978)などである。

著者: 土居伸彰

参考文献

  • 『クロアティアのアニメーション 人々の歴史と心の映し絵』, 越村勲, 彩流社, 2010
  • Cartoons: One Hundred Years of Cinema Animation, Gianalberto Bendazzi, Indiana University Press, 1995

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