2019年06月15日号
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シアーズ・カタログ

Sears Catalog

シアーズ・カタログとは、1886年に創業、93年にシアーズ・ローバック社として法人化し、現在も存続する生活領域を網羅的に扱う大規模小売店シアーズによって展開されたカタログのことである。シアーズは当初、時計・宝石の廉価通信販売を営んでおり、一般的には百貨店に分類されるが、高級・都会志向ではなく、廉価・量販を広大な郊外店舗で展開する大衆路線で、むしろ総合スーパーマーケットにも似た業態である。大都市から離れたエリアに居住する消費者のために、1896年から、大判総合カタログによるダイレクト・マーケティングを開始(2000年に終了)。シアーズ・カタログは「満足の保証」を謳い文句に、とりわけ自社ブランドの商品ラインアップを拡大していくことで充実度を高め、20世紀前半を通して、シアーズは企業として急速に成長していくこととなる。顧客の生活環境やライフスタイルを反映して、自社ブランドには、家庭用工具、自動車・園芸用品といったDIYに供するモノが豊富に含まれる。初めての実店舗は1925年に開店したが、こうしたカタログを愛読するタイプの消費者にとって便利な、自家用車でアクセスしやすい郊外型の百貨店だった。ビリー・ジョエルの曲「イタリアン・レストランで」(1977)の一節、「いとも簡単に結婚し、シアーズで家具を取り揃え、生活が苦しくなると、いとも簡単に別れてしまい……」は、まさに「シアーズのあり方」がアメリカン・ウェイ・オヴ・ライフの典型的な一局面であることを示唆している。

著者: 橋本優子

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