2019年08月01日号
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ジャポニスム

Japonisme(仏), Japonism(英)

19世紀後半に欧米で起こった日本美術ブーム。工芸品と浮世絵を中心とする日本美術への強い興味で、フランスを中心に、ヨーロッパのほぼ全域からアメリカまで、西洋世界の広範囲で生起した。幕末に日本が開国して以降、美術工芸品の流出・輸出が行なわれていくなかで勃興し、特に1862年ロンドン万博、67年パリ万博、73年ウィーン万博における日本美術の出品・展示が契機となり流行した。しかし20世紀に入ってフォーヴィスムなどの新しい美術が出現すると、ジャポニスムは1910年代には終息し、欧米では以後、中国美術やアフリカ美術が注目を集めるようになっていった。ジャポニスムは西洋で、印象派、ポスト印象派、アール・ヌーヴォー、エステティック運動などに影響を与えるとともに、さまざまなレヴェルで日本美術品の収集を促し、大規模なものではイギリスのW・アンダーソン、フランスのE・ギメ、アメリカのE・フェノロサのコレクションなど、多くの日本美術コレクションが形成された。一方で日本では、ジャポニスムへの対応が明治前半期の美術政策の基調となり、これが日本の美術制度そのものの出発点となった。ジャポニスムの需要を見込んだ美術工芸品の輸出が、明治政府の殖産興業政策の一翼を担い、その目的のために、博覧会事業や当代美術振興、古美術保護も行なわれたからである。日本における「美術館」が、1877年の第1回内国勧業博覧会で産業館のひとつとして始まったのも、ジャポニスムを背景とするこうした殖産興業の文脈に基づくものだった。

著者: 太田智己

参考文献

  • 「ジャポニスム」展カタログ, 国立西洋美術館, 1988
  • 『ジャポニスム入門』, ジャポニスム学会編, 思文閣出版, 2000
  • 『明治国家と近代美術 美の政治学』, 佐藤道信, 吉川弘文館, 1999

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