2019年08月01日号
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スカンディナビアン・デザイン/北欧デザイン

Scandinavian Design

1950-60年代にデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドのデザイナーたちは、家具、食器やファブリックなどの日用品を中心に優れたデザインの製品を数多く生み出した。これらのデザインは戦略的に売り出され、アメリカを先駆けとしたブームが興り、北欧デザインは世界を席巻した。北欧においては各諸国が独自性を有しながらも、文化的な共通点があり、緩やかに共通するデザイン言語がつくられてきた。北欧デザインを理解するキーワードのひとつが、「自然の素材を活かしつつなされる手仕事の伝統」である。フィンランドのタピオ・ウィルッカラの作品・製品は、深い森のイメージを強く喚起させつつ、「手の痕跡」を残すことと職人の協同精神が念頭に置かれている。このような手技を基礎とするものづくりの伝統は、デンマークやスウェーデンの家具デザイナーの教育方法において顕著にみられる。ハンス・ウェグナーに代表されるように、デザイナーはまた家具職人でもある。二つ目は「機能」で、伝統を踏まえながら受け手側の視点を重視する態度から生まれている。デンマークで機能性を探求し、近代家具の端緒を切り拓いたのは、コーア・クリントであった。彼は過去の様式を解析し、そこに生じた諸問題を解決するデザインを探求しただけでなく、10年代後半に早くも人間工学の視点を取り入れた研究を行なった。陶磁器の分野では、フィンランドのカイ・フランクが機能性・実用性・普遍性が徹底的に追及したデザインを行なっている。三つ目は「表現の豊かさ」、生活に安らぎや楽しみを与える遊び心あるデザインである。デンマークのアルネ・ヤコブセンの椅子は、丸みを帯びた有機的な形態、明るい色彩が特徴的である。またヴェルナー・パントンの椅子やランプは、強烈な個性をみせている。

著者: 竹内有子

参考文献

  • 『スカンジナビアデザイン』, エリック・ザーレ(藤森健次訳), 彰国社, 1964
  • 「北欧デザインの今日―生活の中の形」展カタログ, 小川正隆監修, 美術館連絡協議会, 1987
  • 『国際デザイン史』, デザイン史フォーラム編, 思文閣出版, 2001
  • 「北欧モダン デザイン&クラフト」展カタログ, アプトインターナショナル, 2007

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