2019年06月15日号
次回7月1日更新予定

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スキャッター・ピース

Scatter Piece

1968年頃から現われた、床面の一定の面積にさまざまな素材を散乱させる作品のこと。R・モリス、C・アンドレ、バリー・ル・ヴェー、W・ヴォリンガーらによって制作されたこれらの作品は、スキャッター・ピースと呼び得る特徴を備えていた。これらの作品における事物の無秩序な散乱は、物体相互の有機的な繋がり、あるいは形態としてのまとまりや強固さを失わせ、水平的な作品形態を提示する。また、バッグに詰めた小さな物体を恣意的にばら撒いたアンドレの仕事は、作品の全体像が作家の統制から離れ、その結果が、偶然性や不確定性に依るものであることを示していた。一群の作品に関してモリスは「棒、粒子、埃、パルプ、水分を含んだもの、乾いたものなどは潜在的に使用可能である」と述べたが、そこでは前世代までの彫刻が備えていた〈構築〉という目的から解放されたあらゆる事物が投入され、相互に絡み合い、部分と全体との対応関係を欠いたまま使用される。さらに、重力に抗うことなく事物が床面に散乱するスキャッター・ピースにおいては、作品を観る観者と作品との物理的な距離が、視覚的というよりは身体的な隔たりとして意識される。ゆえにスキャッター・ピースは、観者の「身体」という次元を、それまでの彫刻とは別の角度から切り拓いたともいえよう。

著者: 沢山遼

参考文献

  • Continuous project altered daily: the writings of Robert Morris, “Notes on Sculpture part 3”, Robert Morris, MIT Press, 1993

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