2019年09月15日号
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ゼロ次元

Zero Jigen

1963年から72年まで「人間の行為をゼロに導く」をコンセプトに過激でナンセンスなパフォーマンスで活躍したグループ。加藤好弘、岩田信市を中心に名古屋で結成されたゼロ次元は、63年に名古屋国際ホテル前でメンバーが道路に腹這いになって行進するパフォーマンスで観衆の前に現われた。「儀式」と称した彼らの活動は、新宿で全裸に防毒マスクという姿で歩き回る、貸し切りにした都電内に紐で縛った全裸の男女を乗せて走らせるなど、都市空間で突如、裸体を露出した集団が行動することを特徴とした。大阪万博の前年、他の芸術家と共に万博破壊共闘派を発足、学園紛争まっただなかの京都大学講堂屋上にて全裸パフォーマンスを行ない、メンバーが逮捕される事件が起こる。これにより全国に300人以上も存在したと言われるゼロ次元の活動は息をひそめ、72年休止した。ゼロ次元は肉体の露出、宗教儀式や前近代の祝祭のような聖と俗の両極性、既成の表現の全否定、モダニズム歴史観に対する拒否などあまりにも過激でセンセーショナルなものだったため、60年代の政治闘争の時代にシャーマニスムか芸術テロかと騒がれ週刊誌に大々的に取り上げられたものの、欧米美術の歴史や理論を参照してきた当時の日本の現代美術業界においては、批評家の針生一郎を除き評価する者はいなかった。過激さゆえ美術史のなかで抜け落ちている彼らの活動であるが、近年椹木野衣や黒ダライ児らによって研究が進み評価が高まっている。

著者: 栗栖智美

参考文献

  • 『ゼロ次元 加藤好弘と六十年代』, , 平田実, 河出書房新社, 2006
  • 『日本・現代・美術』, , 椹木野衣, 新潮社, 1998

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