2019年06月15日号
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ソフト・スカルプチュア

Soft Sculpture

彫刻や立体作品といえば、石や木を彫ったり、金属を鋳造するなどして硬い材料でつくられたものが一般的だが、布や糸のような繊維や、ゴム、脂肪などの柔らかく可塑性のある素材を使用して制作された彫刻や立体作品のことをさす。現代美術の動向としてのソフト・スカルプチュアは、ありふれた日用品を巨大に複製したパブリック・アートやインスタレーションで知られる、ポップ・アートを代表する作家のひとり、クレス・オルデンバーグから始まったとされる。彼の《Soft Bathtub》(1966)や《Lipstick (Ascending) on Caterpillar Tracks》(1969)などは、ビニールや布でつくられているため、参加者が空気を注入しないとしぼんでしまい、巨大な日用品が重力で歪むその変容のプロセスそのものが作品として提示されている。ほかには、有名な建物を巨大な布で梱包したクリストの作品や、ヨーゼフ・ボイスによる脂肪やフェルトを使った彫刻、草間彌生による布に綿をつめた男根状のクッションを家具や舟に敷き詰めた作品などがあるが、素材の柔らかさという特性より、そこから生まれる可変性や刹那性から語られることが多い。また、庄司達が手がける布を使った作品は、オブジェというより布による空間表現と見るべきだろう。

著者: 田中由紀子

参考文献

  • 「鉄の絵画と布の彫刻 久野真・庄司達」展カタログ, 愛知県美術館, 1998
  • 『やっぱり好きだ!草間彌生。』, ペン編集部編, 阪急コミュニケーションズ, 2011
  • 『クリスト(現代美術の巨匠)』, マリーナ・ヴェゼイ(三宅真理訳), 美術出版社, 1991
  • A Decade of Sculpture: the New Media in the 1960's, Julia M. Busch, Associated University Presses, 1974

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