2019年12月01日号
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タンツテアター

Dance Theatre/Tanztheater (独)

演劇的な要素を積極的にダンス作品のうちに取り込む、ピナ・バウシュの作品を代表とする、主としてドイツで展開されてきたダンスの一傾向。1932年にクルト・ヨースが《緑のテーブル》で展開した反戦のドラマを含むダンス作品を、当時支配的だった因習的な物語バレエの美学と区別するために「タンツテアター」(ダンス演劇)という表現が用いられた。後にピナ・バウシュを代表者とする作家たちによって展開される独特の表現形式を指す呼び名となるまで、ゲルハルト・ボーナーが72年に旗揚げした劇団名「タンツテアター・ダルムシュタット」のように、この名称は「舞踊劇団」の意味でしばしば用いられてきた。バウシュのタンツテアターにおいて特徴的なことは、演劇的な要素が断片的であり、またそれに対する観客の解釈が一義的に同定されえない点にある。このことは、ダンサーたちが日常的で個人的な経験に基づく断片的な場面をリハーサルに持ち寄ることによって作品が構成されるといったバウシュの創作方法と不可分である。日常から生まれる個人的な感情を旧来の演劇やバレエの持つヴォキャブラリーから自由に表現する方法は、80年代初頭においてそのルーツとなったモダンダンスの再評価を促した。また近年、その諸方法に照らしてバウシュとほぼ同世代のアメリカのダンス集団ジャドソン・ダンス・シアターとの類似性が指摘されている。

著者: 木村覚

参考文献

  • Pina Bausch, Royd Climenhaga, London and New York, 2009
  • 『ピナ・バウシュ タンツ・テアターとともに』, ライムント・ホーゲ(五十嵐蕗子訳), 三元社, 1999
  • 『ピナ・バウシュ 怖がらずに踊ってごらん』, ヨッヘン・シュミット(谷川道子訳), フィルムアート社, 1999

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