2019年06月15日号
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ダゲレオタイプ/銀板写真

Daguerréotype(仏)

1839年、フランスのルイ・ジャック・マンデ・ダゲールによって発明された世界初の写真。銀メッキされた銅板上にヨウ化銀を塗布することで感光性をもたせ、水銀蒸気で現像する技法。金属板の表面に直接像を焼き付けるために、複製不可能な一枚限りの写真となる。また、感光面から鑑賞するために左右反転した像になるだけでなく、見る角度によってはポジ像になったり、ネガ像になったりする。39年8月19日、科学アカデミーと美術アカデミーの合同会議の場において物理学者で下院議員のフランソワ・アラゴがダゲレオタイプのプロセスを公開。フランス政府が特許を買い上げることを引き換えに、ダゲールと共同研究者であったジョセフ・ニセフォール・ニエプスの息子には終身年金が支払われた。金属板の上に焼き付けられた精緻な像は「ダゲレオタイプ狂」という言葉ができるほど人々を熱狂させ、肖像の民主化をもたらした。鏡のように魔術的な輝きを放つダゲレオタイプは「記憶をもった鏡」とも呼ばれ、主に肖像写真として欧米を中心に流通した。像が非常にデリケートなため、専用のケースや額に入れられ、指紋や外気に触れないように表面はガラスで保護されて鑑賞された。

著者: 小原真史

参考文献

  • 『写真の発明者ニエプスとその時代』, オデット・ジョワイユー(持田明子訳), パピルス, 1998
  • 『メディアの近代史 公共空間と私生活のゆらぎのなかで』, パトリス・フリッシー(江下雅之、山本淑子訳), 水声社, 2005
  • 『完訳ダゲレオタイプ教本 銀板写真の歴史と操作法』, L・J・M・ダゲール(中崎昌雄訳), 朝日ソノラマ, 1998

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