2019年06月15日号
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テクトニック

Tectonic

テクトニックとは美学的判断を含んだ、建築の構築的方法のこと。テクトニックという言葉は、ギリシャ語を起源とする「テクトン(tekton)」という言葉に由来しており、元来は大工や建設業者を意味する言葉であるが、その後、建築家を意味する「アルキテクトン(architekton)」という言葉の出現をうながすことになるように、技術的な言葉から、美学的な言葉へと変化していった。建築史家のケネス・フランプトンは著書『テクトニック・カルチャー 19-20世紀建築の構法の詩学』(1995)において、建築を建築たらしめる「構法」や「構造」のあり方を再吟味することで、建築の本質的表現を読み取ろうと試みた。フランプトンは、建築形態のヴォリューム的特質である「空間」が、近代建築の本質を示すことを認めつつも、建築以外の言説から自らの正当性を引き出す建築のあり方に対抗し、建築は「場所(topos)」「類型(typos)」「結構(tectonic)」という三つのベクトルの相互作用から生み出される「構法の詩学」であると定義した。また、近・現代の建築家、フランク・ロイド・ライト、オーギュスト・ペレ、ミース・ファン・デル・ローエ、ルイス・カーン、ヨーン・ウツソン、カルロ・スカルパの建築において、テクトニックの視点で、構法と材料特性が建築表現に与えた影響を明らかにしながら、テクトニックなディテールは伝統的な類型に結びついており、テクトニックの進歩こそが、将来的な建築の発展の大きく寄与すると主張した。

著者: 有山宙

参考文献

  • 『テクトニック・カルチャー 19-20世紀建築の構法の詩学』, ケネス・フランプトン(松畑強、山本想太郎訳), TOTO出版, 2002
  • 『10+1』No.16, 「テクトニック、という視座をめぐる省察」, ケネス・フランプトン(南泰裕訳), INAX出版, 1999

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