2019年10月15日号
次回11月1日更新予定

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デザイン・ミュージアム

Design Museum

広義には、デザインの作品と製品を専門に所蔵・展示・普及活動を行うミュージアムのこと。固有名詞としての「デザイン・ミュージアム」は、1989年、世界で初めてモダン・デザインを対象に、ロンドンで開館したミュージアムを指す。ロンドン・デザイン・ミュージアムの母体となったのが、19世紀半ばに開館したサウス・ケンジントン・ミュージアム(現在のヴィクトリア・アンド・アルバート美術館)である。同ミュージアムは元来、英国の工業生産の標準となるようなデザインの製作に寄与することおよびデザイン教育のために設立された歴史がある。ロンドンのデザイン・ミュージアムの創設経緯は次の通り。ハビタット・グループを創設したテレンス・コンランは、デザイン奨励を図る社会貢献事業として、81年にコンラン財団を設立する。翌年には早速、ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館地下のスペースを借りて、ボイラーハウス・プロジェクトを開始。同年から87年のあいだに、「ソニー」、「コーク」、「イッセイ・ミヤケ」、「メンフィス」、「売るためのイメージ」展など、産業/商業/大衆の関係性の中でデザインを捉え直す、活発な活動を行なって注目を集めた。89年に、テムズ河沿いタワーブリッジ近くの河岸倉庫を改修した建物を本拠地にして、デザイン・ミュージアムが開館。プロダクト・デザイン、グラフィック・デザイン、建築・都市計画などを扱う。初代のディレクターは、ボイラーハウスで統括責任者を務めたスティーブン・ベイリー。現在は、批評家・作家・キングストン大学教授を務めたディヤン・スジックが館長。このほか海外には、ドイツの家具製造会社ヴィトラ社によるヴィトラ・デザイン・ミュージアム(1989年開館)からアメリカのクーパー・ヒューイット・ナショナル・デザイン・ミュージアム(1897年開館)まで、官民、さまざまなタイプのデザイン・ミュージアムがある。しかし、日本には未だに本格的な国公立デザイン・ミュージアムがなく、近年、その設置を望む声がますます高まっている。

著者: 竹内有子

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