2019年06月15日号
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トロンプ=ルイユ

Trompe-l’œil(仏)

フランス語で「目を騙す、錯覚を起こさせる」という意味の言葉で、転じて「だまし絵」を指す。トロンプ=ルイユは、精細な描写によって描かれた対象物の実在感に目が騙され、実際に対象物が存在するかのような錯覚を起こさせる絵画技法である。そのため芸術作品に登場するだけでなく、建築物などの装飾としても用いられる。絵画では15世紀のフランドル地方において静物画に使用され、いわゆる「だまし絵の静物画」が流行した。しかし、この技法がより大きく展開したのは、17世紀(特にマニエリスムからバロック)のイタリアにおいてである。特に、宮殿や教会などにおける天井画などの装飾に用いられた(この天井画の手法を、クアドラトゥーラという)。その走りは、16世紀の画家コレッジョよってパルマのサン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂の円蓋に描かれた《栄光のキリスト》(1520-24)などであろう。そこには降下するキリストと彼を囲む十二使徒が描かれており、この仰視的表現が17世紀のバロック建築における装飾に受け継がれた。その代表的作例として、パオロ・ヴェロネーゼによるヴィラ・バルバロの装飾が挙げられる。このようなモニュメンタルな建築の装飾に多用されたことから、トロンプ=ルイユの最盛期はやはり16-18世紀と言えるだろう。20世紀以降においては、主にシュルレアリスムなどで使用された。

著者: 小野寛子

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