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ドイツ工作連盟
Deutsche Werkbund[DWB](独)
機械生産を肯定し、製品の質的向上を目的として、1907年ドイツに設立された団体。ドイツ工作連盟は、イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動の成果を直接的に引き継いだが、重要な違いは、急速な経済発展が進むドイツにあって、前者が近代的な産業生産を視野に収めた点であった。イギリスの同運動をドイツに伝えたヘルマン・ムテジウスは、帰国後、工作連盟の創立会員の一人となる。同連盟のスローガンは、「芸術家、産業界の企業家、職人の協力を通して、産業製品を発達させること」であり、デザイナーのみに留まらない広範囲な分野から会員が参加した。14年にケルンで開催された工作連盟展には、量産家具・家庭用品、W・グロピウスの鋼鉄とガラス構造のモデル工場のほか、P・ベーレンス、B・タウトらの建築が展示され、注目を集めた。しかしその直前に行なわれた総会で起こった論争、「規格化」を推進するムテジウスと、「芸術家の個性・芸術性」を擁護するヴァン・ド・ヴェルドの対立は、工作連盟内部の理想と現実のみならず、以後のデザインの展開において重要な論点を示している。ドイツ工作連盟は諸外国に影響を与えたが、30年代にナチスの圧力によって解体、戦後に再興されて現在も存続している。
著者: 竹内有子
参考文献
- 『現代デザイン理論のエッセンス』, 「ムテジウス―ドイツ工作連盟」, 阿部公正(勝見勝監修), ぺりかん社, 1966
- 「[クッションから都市計画まで]ヘルマン・ムテジウスとドイツ工作連盟:ドイツ近代デザインの諸相 1900-1927」展カタログ, 京都国立近代美術館, 2002
関連ワード
関連人物
アンリ・ヴァン・ド・ヴェルド(Henry van de Velde)
ブルーノ・タウト(Bruno Julius Florian Taut)
ヘルマン・ムテジウス(Adam Gottlieb Hermann Muthesius)
ペーター・ベーレンス(Peter Behrens)
ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe)
ヨーゼフ・ホフマン(Josef Franz Maria Hoffmann)
ヨーゼフ・マリア・オルブリッヒ(Joseph Maria Olbrich)
リヒャルト・リーマーシュミット(Richard Riemerschmidt)
ヴァルター・グロピウス(Walter Adolph Georg Gropius)