2019年06月15日号
次回7月1日更新予定

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ドローン

Drone

変化のない持続音。この語はもともと雄蜂を意味し、そこから蜂の羽音、そして持続音一般を指すようになった。ルッソロが発明した装置イントナルモーリ、H・ベルトイアの音響彫刻、I・クラインの《シンフォニー・モノトーン》(1949)、A・ルシエやM・ニューハウスらのサウンド・インスタレーションなど、美術と音楽の中間で活動する作家の作品にはドローンを発するものが数多くある。この音の特徴は、感覚・空間的なものと歴史・文化的なものに分けられる。ドローンの変化のなさはリスナーに時間が止まったかのような印象を与える。また、持続のためにリスナーは自身の移動に伴う聞こえの変化をはっきり感じ、音の広がる空間を意識することができる。時間芸術から距離をとり、空間芸術に接近するサウンド・アートにおいては、しばしばドローンのこの空間性が効果的に生かされている。また、ドローンの使用は西洋の近代以降の音楽を除けば、世界各地の伝統的な音楽や音文化に広く認められる。特に宗教との関わりが深く、瞑想を助けるものとしてよく用いられている。一方、R・M・シェーファーはドローンを、産業革命以降のサウンドスケープに特徴的な音のひとつである、機械が発する「フラット・ライン」の一種とみなしている。また、大音量の人工的なドローンは騒音問題で槍玉にあげられることも多い。このような歴史的・文化的両義性がドローンを使用する作品に陰影を与えている。

著者: 金子智太郎

参考文献

  • 『世界の調律 サウンドスケープとはなにか』, R・マリー・シェーファー(鳥越けい子ほか訳), 平凡社ライブラリー, 2006
  • 『ドローンとメロディー 東南アジアの音楽思想』, ホセ・マサダ(高橋悠治編訳), 新宿書房, 1989
  • Undercurrents: The Hidden Wiring of Modern Music, “The Eternal Drone: Good Vibrations, Ancient to Future”, Marcus Boon, Continuum Books, 2002

参考作品

  • 《Sonambient》シリーズ, ハリー・ベルトイア
  • 《シンフォニー・モノトーン》, イヴ・クライン, 1949
  • 《Music on a Long Thin Wire》, アルヴィン・ルシエ, 1977
  • 《Times Square》, マックス・ニューハウス, 1977

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