2023年12月15日号
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ニューヨーク・ダダ

New York Dada

M・デュシャン、F・ピカビア、マン・レイを主要人物として1915年頃からニューヨークで展開した、ダダ的性格を持った活動。第一次大戦を逃れてニューヨークに渡ったデュシャンとピカビアが15年に再会し、同年にマン・レイがデュシャンと出会ったことに加え、デュシャンの作品のコレクターでもあったW・アレンズバーグが自邸のリヴィング・ルームを前衛芸術家や作家たちのためのサロンとして開放したことにより、さまざまな人物が交流を深めた。デュシャン、ピカビア、マン・レイはNYの近代的な都市空間のなかでオブジェクティヴかつ機械的な作用や連関を想起させる作風を加速させた。彼らの作品に触発され、アメリカの若い作家たちも機械的な絵画やオブジェを手がけた。「ダダ」としてのグループの形成はあくまで自然発生的なものであるが、ダダ的なユーモアや否定精神が、マス・プロダクションの原理や同時代的なテクノロジーの状況と結び付くことにより、独自の反芸術的傾向を醸成したのは確かである。その後デュシャン、マン・レイ、アレンズバーグがニューヨークを離れたことにより、21〜22年頃にグループの活動は終息へと向かった。

著者: 沢山遼

参考文献

  • Duchamp, Man Ray, Picabia, Jennifer Mundy(ed.), Tate, 2008

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