2019年06月15日号
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ネオ・エクスプレッショニズム

Neo-Expressionism(英), Neoexpressionismus(独)

1980年前後より、アメリカ(ニューヨーク)、イタリア、西ドイツなどの複数の場所で同時多発的に台頭した具象的傾向を備えた絵画の動向。主観主義的な感情を直接的に表出するような激しい筆致や色彩の使用によって「ネオ・エクスプレッショニズム(新表現主義)」と呼ばれる。これらの絵画では、観者の身体のスケールを遥かに超えて大型化した画面に、性的イメージ、人物像、現代的な諸現象から歴史的・神話的題材など、さまざまな主題を登用することで得られる効果を絵画的な崇高さのもとにまとめあげる手法が顕著である。多様なイメージ群を引用・消費するこれらの絵画を、ポストモダニズムの観点から評価する向きがある一方で、商業主義との結びつきや現代美術の展開に逆行するような非歴史主義的な無自覚さが批判されることもあった。新たな絵画の台頭は「ア・ニュースピリット・イン・ペインティング」展(ロンドン王立美術協会、1981)、「ツァイトガイスト」展(ベルリン・旧美術工芸美術館、1982)などの展覧会を通じて世界的な注目を集め、「トランス・アヴァンギャルディア」(イタリア)、「フィギュラシオン・リーブル」(フランス)、「バッド・ペインティング」「ニュー・イメージ・ペインティング」(アメリカ)などとも呼ばれた。なかでも大戦後の歴史的抑圧、東西冷戦下の緊張と複雑な社会構造を経験したドイツで、かつての表現主義的伝統を復活させるようにして登場し特異な存在感を放った「ネオ・エクスプレッショニズム」の語が最も広く浸透した。

著者: 沢山遼

参考文献

  • After modern art 1945-2000 (Oxford History of Art), , David Hopkins, Oxford University Press, 2000
  • The Return of the Real: Art and Theory at the End of the Century (October Books), , Hal Foster, MIT Press, 1996
  • Twentieth-century American art (Oxford History of Art), , Erika Doss, Oxford University Press, 2002

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