2019年08月01日号
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パターン・アンド・デコレーション/P&D

Pattern and Decoration/P&D

1975年代半ばから80年代初頭にかけてアメリカに現われた美術動向。手工芸的な技術や素材(の混合)、模様、鮮やかな色彩など、モダニズムのなかで周縁的と見なされてきた要素を用いて装飾を二次的にではなくメイン・モチーフとして扱い、平面性を強調した。作風は花や人体など具象イメージを描くものから抽象的なパターンの連鎖まで多様だが、いずれもイスラム、ペルシャ、ケルト、日本など非西洋の文化イメージを着想源として作中に取り込んでいる(ただし、マティスやF・ステラといったハイアートにおける装飾、平面性の文脈も参照している)。視覚の享楽を打ち出すことで先行動向のミニマリズムやコンセプチュアル・アートの禁欲性に対するカウンターとしての意味を強く持っていたが、多くは作品をグリッド構造によって成り立たせている点でミニマリズムと共通する特徴も備える。理念的には壁紙やプリント布地との差異が小さいが、パターンを複数組み合わせることで製品との差別化を図っている例が多い。また、あらゆる面を活用するため、絵画からインスタレーションまで作品メディアが幅広い。民間に根付いた、土地特有の(バナキュラーな)文化を押し上げることで西洋中心、男性中心に偏向しない多元的な美学を正当化すべくとりわけ装飾に焦点を当てたこの動向は、当時の国際的なフェミニズム運動の高まりとも連動しており、関連する主要作家には女性アーティストが多く含まれる。

著者: 成相肇

参考文献

  • Robert Kushner: Wild Gardens, , Michael Duncan, Pomegranate, 2006
  • Pattern and Decoration : An Ideal Vision in American Art, , Arthur C. Danto etc., Hudson River Museum, 2007

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