2019年08月01日号
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ビオメハニカ

Biomechanics/biomekhanika(露)

ロシアの演劇作家ホセヴォロド・メイエルホリドが国立高等演劇工房時代に発案した、身体の制御を特徴とする役者術の理論。この名称は当初、スタジオ生のカリキュラムを指し、1922年6月12日にビオメハニカの練習として初めて公開された。演劇における生産の時間・動作の研究として考案したシステムを、メイエルホリドはF・テーラーやそのロシアにおける信奉者A・ガスチェフの科学的な労働の組織化の実験になぞらえ、またW・ジェームスの客観的心理学やI・パヴロフの条件反射の理論にもたとえた。また役者の二重性を論じたコンスタン・コクラン『俳優の芸術』(1880)との類似性も指摘されている。本人ないし演出家が与える課題の遂行を生産の内実とする役者は、その素材である自己の身体を正しく組織し使いこなすために訓練される必要がある。ビオメハニカは、身体のメカニズムを学んで「演技における完全な自己意識と自己制御の感覚を俳優の内部に育成するもの」である。《堂々たるコキュ》(1922)に見られたアクロバティックな身体表現は、彼の演技スタイルが純粋に表われたものと評され、またコメディア・デラルテの復興とも考えられている。後に映画監督として活動するセルゲイ・エイゼンシテインは当時、彼のもとで実験助手を担当していた。

著者: 木村覚

参考文献

  • 『メイエルホリド 演劇の革命』, エドワード・ブローン(浦雅春、伊藤愉訳), 水声社, 2008

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