2019年06月15日号
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ビッグネス

Bigness

建築文化領域における「ビッグネス」とは、建築家レム・コールハースによって定義づけられた、建築があるスケールを超えると獲得する「巨大さ」という属性を示す言葉である。この巨大さという属性は、コールハースの著作『S, M, L, XL』において書籍の主要なコンセプトとして、また建築文化全体を貫く革新的なマニフェストとして位置づけられている。『S, M, L, XL』内に収録されている論文「Bigness or the problem of Large」において、ビッグネスは以下の5つの定理で説明されている。(1)ある臨界容積を超えると建築は巨大なビルディングとなり、もはや建築的操作によって管理することはできない。(2)エレベーターや他の機械的手法により、古典的な建築手法は無効化された。建築に関する「芸術」は巨大さの前で役に立たない。(3)巨大さのもとでは中身と覆いの距離が広がり、ファサードは建物の内部を外部に伝達することはできない。(4)サイズが巨大化するだけで、建物は善悪を超えた領域に突入してしまう。(5)ビッグネスはいかなる都市組織の一部でもない。つまり、建物が一定以上巨大化すると、都市と建築の連動、建物の内外の一致を求めた近代建築の理論が無効化されてしまう事態が引き起こされるということである。しかし、このコールハースの認識を悲観的に捉えてはいけないだろう。コールハースは、ビッグネスこそが再び建築に近代化という社会革新を推し進める役割を取り戻すものとし、われわれにビッグネスの理論化を促しているのだ。

著者: 千種成顕

参考文献

  • S, M, L, XL, Rem Koolhaas and Bruce Mau, Monacelli, 1998
  • 『建築文化』1995年1月号, レム・コールハース/OMAの楽しい知識, 彰国社

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