2019年08月01日号
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ビルディングエレメント論

Building Element Theory

ビルディングエレメント論とは、建物を床・壁・天井といった空間を仕切る要素、すなわちビルディングエレメント(Building Element、Beとも略記される)に分解し、ビルディングエレメントごとに要求される性能を明確にすることによって、建物全体の性質を明らかにしようとする理論であり、1950年代末頃に内田祥哉らによって提唱された。ただし、ビルディングエレメントとは空間を仕切る要素のことであるから、厳密には、敷地境界線など、物理的実体をもたない抽象的な境界や、立ち入り禁止のラインなど、社会慣習的に定義される境界も含む。同理論は、建築生産の工業化が進行し、新しい材料や建築部品が次々と登場する、当時の時代状況に応じて構築されたものであった。すなわち、伝統的なものとは異なる方法でつくられた建物やその技術体系を、しかしこれまでどおり「建築」と呼べるのかという根本的疑問に対して、建物の部位を、要求と性能という観点から抽象化し、科学的に捉えることによって、建築とは何かを明らかにしようとする目論見があった。ビルディングエレメント論の登場によって、それ以前は建物の部位のつくりかたの慣習的方法を整理したものに過ぎなかった「一般構造」という概念は、「構法」という科学的概念に刷新され、その理論化・体系化が図られた。

著者: 門脇耕三

参考文献

  • 『日本建築學會研究報告』No.48, 「Building Elementの定義に就て」, 内田祥哉、宇野英隆、井口洋佑, 1959

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