2019年08月01日号
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ピクチャレスク

Picturesque

主にイギリスの庭園美学において用いられはじめた概念であり、文字通り「絵のような」風景を意味する。
「ピクチャレスク」はイタリア語の「ピットレスコpittoresco」を起源とするが、この語が美的範疇として特別な意味をもつようになったのは18世紀のことである。1782年に刊行されたウィリアム・ギルピンのピクチャレスクに関する著作がとりわけ重要であるが、こうした美的範疇が成立するに至った背景としてはとくに以下の2点が挙げられる。(1)「美」と「崇高」という美的範疇の体系化。これは当時イギリスで大流行したエドマンド・バークの『崇高と美の観念の起源』(1757)に起因するものであり、ピクチャレスクという美的範疇はしばしば「美」と「崇高」というこの両者との相関関係において論じられた。(2)グランド・ツアーをはじめとする「観光」の普及。ピクチャレスクは、アルプス山脈に代表される具体的な景観との結びつきのなかで経験的に練り上げられていった概念である。上記のギルピンの著書もその例外ではなく、同書はワイ川と南ウェールズでの彼自身の経験にもとづく実践的な著作として執筆された。
その後多数刊行されたピクチャレスク論のなかでは、プライスの『ピクチャレスク試論──崇高および美との比較において』(1794)がひときわ重要である。同書は庭園美学のみならず、建築や都市景観の分野でも後世に強い影響を与えた。プライスの影響力は、セントラル・パークを手がけた造園家フレデリック・ロー・オルムステッドを介して、戦後アメリカの美術家ロバート・スミッソンにまで及んでいる。

著者: 星野太

参考文献

  • 『庭の綺想学──近代西欧とピクチャレスク美学』, , 高山宏, ありな書房, 1995

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