2019年06月15日号
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ピス・ペインティング

Piss Painting

1961年に《小便絵画》として初めて制作され、78年に「酸化(オキシデーション)絵画」のシリーズとして発表されたアンディ・ウォーホルの作品。ウォーホルは、これらの制作において、銅の顔料を塗ったキャンヴァスが乾かないうちに、助手やファクトリーの若者たちに放尿させた。「酸化」と呼ばれるのは、尿酸と硫酸銅とが化合して緑の光沢を生じさせることに由来する。このシリーズでは、尿という排泄物を美的な抽象絵画へと昇華しているところが特筆される。抽象的な紋様や飛沫の跡が、前世代の抽象表現主義の身振りを応用、あるいはパロディとしていることは容易に推測されるが、「尿」を撒き散らすという行為によって、特にジャクソン・ポロックのドリップ絵画が想定されていたことは明白である。放物線を描き画面に定着するポロックの絵具と尿とが等価に扱われていることから、絵筆はペニスに持ち替えられ、抽象表現主義の男性性誇示(マチズモ)が批評的読解の対象になっているとも見なされる。批評家のロザリンド・クラウスは、ピス・ペインティングが、ポロックのドリップ絵画と同じく地面に置かれたキャンヴァスに液体を撒き散らし制作される点に注目し、ウォーホルの実践がポロックの絵画の垂直性を水平的でスカトロジックな次元へと読み替えるものであったとしている。

著者: 沢山遼

参考文献

  • Andy Warhol Catalogue Raisonné,Volume 1 : Paintings and sculpture 1961-1963, , edited by Georg Frei and Neil Printz, Phaidon Press, 2002

註・備考

  • 61年に最初のヴァージョンが制作されたという事実は、ウォーホルの証言に基づく。カタログ・レゾネなどでは実作の確認はできない。

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