2019年12月01日号
次回12月16日更新予定

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ファクトゥーラ

Faktura

絵画やレリーフの表面処理または表面効果のこと。特にロシア・アヴァンギャルドやロシア構成主義の段階的な発展のなかで、芸術作品の構成要素である素材固有の特性や基本的な諸ファクターが重視されはじめ、ガラスや鉄などのモダンな素材への関心の高まりなどとともに、絵画における色彩/テクスチャー/平面性などの構成要素を「現実」の対象として扱おうとする美学的な議論が、ファクトゥーラの概念形成に働きかけることになった。早くとも1912年にD・ブルリュークが「ファクトゥーラ」というテキストを発表し、13年にはM・ラリオーノフが「光線主義者宣言」で「絵画の本質」を形成するものとして色彩の相互関係などとともにファクトゥーラを挙げ、自身も絵画表面の物質性を強調した作品を手がけた。さらに14年にはV・マルコフが小冊子『造形芸術における創造原理―ファクトゥーラ』において幅広い立場からこの概念の理論的考察を行なったほか、K・マレーヴィチも自身の文章のなかで、セザンヌを新たなファクトゥーラを開発した画家として取り上げるなど、1910年代のロシア・アヴァンギャルドの芸術的/技術的革新を支えた概念のひとつである。

著者: 沢山遼

参考文献

  • October: The First Decade, “From Faktura to Factography”, Benjamin H. D. Buchloh, The MIT Press, 1987

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