2023年06月01日号
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フォト・セセッション(写真分離派)

Photo-Secession

アルフレッド・スティーグリッツが1902年にエドワード・スタイケンやクラレンス・ホワイトら若い同志らと起ち上げた写真家集団。03年-07年にかけて機関誌として総合芸術誌『カメラ・ワーク』誌を発行し、フォトグラヴェールによる高品質な図版や先鋭的な評論などを収録した。また、05年から17年にかけて展示スペースとしてニューヨークの5番街291番地にリトル・ギャラリーズ・オブ・フォト・セセッション(通称、のちに改称して正式名称「291」ギャラリー)を開き、写真とともにヨーロッパの先端的な芸術——ピカソ、ピカビア、マティス、セザンヌなど——を紹介するなど精力的に活動した。ギャラリーでの展示などを通して芸術写真の市場開拓を行なうなど、あらゆる手段を尽くして芸術としての写真の確立に努めたスティーグリッツは、「近代写真の父」と呼ばれている。自身はピクトリアリズムの写真家として出発したが、絵画体系から独立した価値体系に基づく芸術としての写真を模索するなかでストレート写真を推進するようになる。それは絵画を模倣するのではなく、カメラの機械性を基調としながら写真独自の芸術表現を追求するものであり、写真のモダニズムを切り拓くものであった。フォト・セセッションは1910年に開催された「絵画主義写真国際展」への参加後に解散する。

著者: 小原真史

参考文献

  • 『写真の歴史 表現の変遷をたどる』, イアン・ジェフリー(伊藤俊治、石井康史訳), 岩波書店, 1987
  • 『寫眞史』, 伊藤俊治, 朝日出版社, 1992
  • 『アルフレッド・スティーグリッツとその仲間たち』, 東京都歴史文化財団東京都写真美術館, 朝日新聞社, 1997

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