2019年08月01日号
次回9月2日更新予定

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フォーク・アート

Folk Art

ある共同体のなかでその歴史、宗教、民族性、地域性を背景に脈々と培われてきた、伝統的な形態や様式をもつ芸術のこと。美術にとどまらず、建築、音楽、演劇、ダンス、見世物、手工芸など広範囲におよぶ。特定の地域や年代、様式と結びつくものではないが、素朴で装飾的なものが多く、洗練されてはいない。主に口伝、模倣、実演により伝承・維持されており、ほとんどの場合、公的な教育機関や確立した指導法はない。フォーク・アートという概念は、近代になり観光産業が発達したことにより、欧米の作家たちが未知の文化や伝統に触れることができるようになり、それに触発されることで、新しい表現の可能性を見出すようになったところから生まれた(その反面、商業主義的な観光開発がその土地のフォーク・アートを衰退させてしまったとも言われている)。タヒチの人々を描いたゴーギャンの絵画やアフリカの仮面や彫刻に影響を受けたピカソの作品などに見られるプリミティヴィズムや、生活と芸術の一致を目指したウィリアム・モリスが主導したアーツ・アンド・クラフツ運動、また日本における民藝運動といった動向にも、フォーク・アートとの関わりを見ることができる。また、シェーカー教徒によって受け継がれてきたシェーカー・スタイルの家具のように、装飾を排し、機能的にデザインされたものもある。

著者: 田中由紀子

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