2019年06月15日号
次回7月1日更新予定

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フリッカー

Flicker

映像におけるフリッカーとは、映像の上映・再生時に生じる光の明滅現象を指す。映像とは、フィルムであれば1秒間に24フレーム、ヴィデオ(例えばNTSC規格)であれば30フレームのフレームレートで、少しずつずれた画像を連続して表示することによって成り立っている。人間の眼では、通常、この高速の切り替え表示は個別のイメージとして判別されず、ひとまとまりの運動として知覚されることになる。しかし条件によっては、この切り替えによる明滅が、光のちらつき現象として視覚的に知覚される場合もあり、これをフリッカーと呼ぶ。フリッカーを視覚的な効果として表現に利用する手法はコマーシャル・フィルムや商業アニメの領域では多用されており、それは数フレーム単位での激しい画像の切り替えによって行なわれる。その光による刺激効果は、条件によっては光過敏性発作を引き起こすものである※1。実験映画においてフリッカーは、知覚の拡大を目的として、あるいはフィルム映写によって成立する映画の構造を前景化するコンセプトで、多くの作品において取り組まれている。ペーター・クーベルカは『アデバー』(1957)と『シュベカター』(1958)のなかでこの方向性を突き詰め、最終的に白コマと黒コマを1フレーム単位で緻密に並べて構造化した『アーヌルフ・ライナー』(1960)に到達した。トニー・コンラッドは『フリッカー』(1966)や『ストレイト・アンド・ナロウ』(1970)において、さらに複雑なフレーム単位での構造化を行なっている。ちなみに『フリッカー』の冒頭では、作品を視聴することによって生じかねない光過敏性発作に対する注意文が表示される。ほかにも、ポール・シャリッツは深層心理を刺激するようなイメージを、強烈な色彩のフリッカーに挿入することで『T,O,U,C,H,I,N,G』(1968)を始めとする作品を制作している。

著者: 阪本裕文

参考資料

  • 『Mandala Films』(PAL盤), Paul Sharits, Re-Voir, DVD, 2003

註・備考

  • ※1:1997年12月には、TVアニメ『ポケットモンスター』の作中でこの効果が使用され、児童を中心とする多数の視聴者が体調不良を引き起こし、病院に搬送されるという事件が起こった。

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