2019年08月01日号
次回9月2日更新予定

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ブラウエ・ライター(青騎士)

Der Blaue Reiter(独)

20世紀初頭のミュンヘンを中心としたW・カンディンスキーやF・マルクらによる芸術運動、またはその名称を冠した年刊誌を指す。カンディンスキーは1904年から08年までヨーロッパ各地を旅行し、ドイツのミュンヘンに戻った後、09年に「ミュンヘン新芸術家協会」を結成し会長を務めた。しかし、協会内の対立と第三回展審査会での出品拒否を経て同協会を脱会。支持者であり友人のマルクとともに、「ミュンヘン新芸術家協会」展と同じタンハウザー画廊で、11、12年に開催された展覧会と、12年に刊行された年刊誌『青騎士』(2巻以降は未刊)が「ブラウエ・ライター(青騎士)」の中心的な活動とされる。「青騎士」の名称は、二人とも青を好み、カンディンスキーが騎士を、またマルクが馬を好んだことが由来とされる。成立にはアカデミズムの形骸化や分離派などの前衛芸術の活動、またユーゲントシュティールやR・ワーグナーの楽劇に見られる総合芸術観の影響がうかがえる。また、A・マッケやP・クレー、R・ドローネーといった画家に加え、ブリュッケ、ロシア未来派の画家などが展覧会に参加していることは、「青騎士」が明確な教義を標榜する集団ではなかったことを示している。カンディンスキーとマルクの編集による『青騎士』は、絵画に限らず詩や音楽も含めて同時代の芸術動向に眼を向けており、産業革命以後の物質主義的な文明に対抗するために、抽象絵画において形態の「内的必然性」を模索するというロマン主義思想が見て取れる。「青騎士」は、第一次世界大戦の勃発によるカンディンスキーのロシアへの帰国やマッケらの戦死により解散となるが、民衆版画や児童画などにも肯定的な評価をした点で、当時の他の芸術動向と一線を画している。

著者: 森啓輔

参考文献

  • 『青騎士』, , W・カンディンスキー、F・マルク編(岡田素之、相澤正己訳), 白水社, 2007

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