2019年06月15日号
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ブリティッシュ・ポップ

British Pop

イギリスにおけるポップ・アート運動のこと。アメリカのポップカルチャーに影響を受けた美術家や作家たちによって結成された「インディペンデント・グループ(IG)」がその先駆とみなされている。IGには画家のリチャード・ハミルトン、批評家のレイナー・バンハム、彫刻家のエドゥアルド・パオロッツィらが参加しており、ロンドンのICA(Institute of Contemporary Arts)を拠点として1952年から55年にかけて活動した。彼らの活動を「ポップ」と呼んだのは批評家のローレンス・アロウェイである。イギリスにおけるポップ・アートの普及の大きな契機となったのは、56年にロンドンのホワイトチャペル・ギャラリーで開催された「ディス・イズ・トゥモロー」展である。同展に出品した前述のハミルトンは、その翌年にポップを「大衆的、低価格、大量生産」といった言葉によって定義した。その後、ピーター・ブレイクやディヴィッド・ホックニーらが参加した「ヤング・コンテンポラリーズ」展(1961)でブリティッシュ・ポップはその絶頂を迎えるが、60年代を境にポップの中心地はロンドンからニューヨークへと移行していく。なお「ブリティッシュ・ポップ」という言葉は、既存のロック・ミュージックに対するオルタナティヴとして生じた50年代、90年代の英国のポップ・ミュージックを指すこともあり、特にブラーやオアシスといったバンドに象徴される後者の音楽はしばしば「ブリットポップ(Britpop)」という略称で親しまれている。これら音楽における「ブリティッシュ・ポップ」と美術におけるそれとの関連が指摘されることは少ないが、前述のブレイクがザ・ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のジャケットをデザインしたことや、90年代におけるブリットポップとYBAs(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)がいずれもブレア政権下における「クール・ブリタニア」の渦中にあったことを考えれば、両者の隆盛はけっして無関係な出来事ではなない。

著者: 星野太

参考文献

  • Pop Art UK: British Pop Art 1956-1968, Walter Guadagni, Silvana, 2004
  • British Culture: An Introduction, 2nd ed., David P. Christopher, Routledge, 2006
  • This is Tomorrow (Reprinted Exhibition Catalogue), Whitechapel Gallery, 2010

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