2019年08月01日号
次回9月2日更新予定

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プロップ・ダンス

Prop Dance

舞台や映画セットの中にある小道具(プロップ)を踊りのパートナーとして用いるダンスの手法。東西の扇や薄布を用いたダンスとも発想として通底するところもあるが、衣装を身体の変形や拡張として利用するマリー・ヴィグマン、マーサ・グレアム、アルヴィン・ニコライらの試みとは目的が異なる。世界を日常とは異なった状態へと変容させる力は、ダンスのひとつの大きな力であり、ときに魔術的とも形容されうる側面である。この手法はこうした世界の変容に関わっており、その力を引き出す取り組みが歴史上さまざまに試みられてきた。特にミュージカル映画のなかで多種多様なアイディアが展開された。フレッド・アステアやジーン・ケリーは、コート掛けやモップ、ゴルフ・クラブとボール、花火、床板、新聞紙などを手にとり、二人のダンスを刺激するパートナーに変貌させた。他にも『ロイヤル・ウェディング』でアステアが回転する部屋と踊り、ケリーが『雨に唄えば』で雨降る街角とともに踊ったように、しばしばダンサーの身体を取り囲む環境それ自体がプロップ・ダンスのアイテムとして機能することもあった。ミュージカル映画の研究者ジェーン・フュアーは、こうした小道具をダンスに活用する発想を解釈する際に、フランスの文化人類学者クロード・レヴィ=ストロースの「ブリコラージュ」という概念を用いている。

著者: 木村覚

参考文献

  • The Hollywood Musical, Jane Feuer, Indiana University Press, 1993

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