2019年06月15日号
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ベッヒャー派

Becher-Schule(独)

近代産業の遺物的な建造物写真を撮ったベルント・ベッヒャーの薫陶を受けた一群の写真家たちのこと。1976年から、夫人のヒラとの活動で知られるベルント・ベッヒャーは、デュッセルドルフ美術アカデミーで教鞭を執ることになる。ベッヒャーの教えを受けた、アンドレアス・グルスキー、トーマス・シュトゥルート、トーマス・ルフ、カンディダ・ヘーファーらを総称して、ベッヒャー派と呼ぶ。溶鉱炉や給水塔のシリーズで知られるベッヒャー夫妻の作品に典型的であるように、ベッヒャー派の特徴は、「タイポロジー(類型学)」と呼ばれるコンセプトにある。タイポロジーは、共通する類型によって収集されたイメージ群を提示することで、記号化されたイメージ相互の意味的差異を抽出する形式的な手段であり、いわば、ミニマリズム的な同質なるものの反復によって、逆説的に差異を見出すことにその主眼があると言えるだろう。ベッヒャー派と呼ばれる作家たちのすべてが、タイポロジーの方法論を強調しているわけではないが、形式やルールに従って撮影や作品制作を行なうといった態度は、ベッヒャー派の作家に共通して指摘できる点である。また、彼らの作品の多くが、タブローと見紛う巨大なプリントサイズの写真(いわゆるビッグ・ピクチャー)を、その展示において選択していることは、写真と美術のジャンル的差異を越境し、より美術作品に近いものとして作品を提示する点で、共通している。

著者: 土屋誠一

参考文献

  • 「ドイツ現代写真 ベッヒャーの地平 遠・近」展カタログ, 川崎市市民ミュージアム, 1996

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