2019年09月15日号
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ペット・アーキテクチャー

Pet Architecture

建築家塚本由晴らが発見・命名した都市に潜む極小の構築物を指す。巨大な都市空間の中に建つ小さな構築物の健気さ、かわいらしさが、人間に対するペットの存在に似ているとして、それらを「ペット・アーキテクチャー」と命名した。そして、東京を中心に事例を収集し、ガイドブック形式で取りまとめたものが『ペット・アーキテクチャー・ガイドブック』である。同書において紹介されているのは、交差する道路に挟まれた鋭角三角形の敷地に建つ倉庫や、両側の建物に挟まれ間口が1メートルに満たない不動産屋など、条件の悪い敷地を巧みに利用した事例である。塚本は、それら極小建築においては看板や空調室外機など、ユーザーが建物をカスタマイズするための道具が相対的に重要な位置を占めていることを指摘し、使い手側による要素の組み合わせの勝手さ、意外性、手作り感等に魅力を見出している。こうした感性は、塚本が得意とする狭小住宅の設計において、機能や目的ではなく「そのもの自体がどうできているか」という即物的な「構成」の視点を重視するスタンスとも重なるものである。例えば《ミニハウス》(1999)では、窓を通して獲得される外部環境と、内部環境における家具的な設えを対応させて構成することで、狭いながらも街の広がりの中に住むような感覚を生み出すことに成功している。

著者: 岡村健太郎

参考文献

  • 『ペット・アーキテクチャー・ガイドブック』, 東京工業大学塚本研究室、アトリエ・ワン, ワールドフォトプレス, 2001
  • 『メイド・イン・トーキョー』, 貝島桃代、黒田潤三、塚本由晴, 鹿島出版会, 2001
  • 『「小さな家」の気づき』, 塚本由晴, 王国社, 2003
  • 『アトリエ・ワン・フロム・ポスト・バブル・シティ』, アトリエ・ワン, INAX出版, 2006
  • 『空間の響き/響きの空間』, アトリエ・ワン, INAX出版, 2009

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