2019年09月15日号
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ボロルック

Boro Look

川久保玲(コムデギャルソン)、あるいは山本耀司(ワイズ)が1980年代前半のパリで発表した服飾を意味する言葉。正確には、82年秋冬コレクション(同年3月発表)と83年春夏コレクション(82年10月発表)のいずれかを意味する場合が多い。彼らによるこれらのコレクションの服飾には、虫喰い穴やかぎ裂き、ほつれなど、「ボロ」のように見える意匠が施されていたため、このような呼称が生まれた。一般的な感覚からは「美」の対極にあるとしか思われないこうした表現をめぐっては賛否両論の声が上げられ、フランスの保守系日刊紙『ル・フィガロ』がそれを「核の惨禍の生き残り」「爆弾テロの後のよう」と酷評したことはよく知られている。彼らの反逆的な美学が高い評価を得るに至った現在では、当時のこうしたバッシングもまた、彼らをめぐる神話を彩る重要な要素になっていると言えよう。ちなみに、定型化した語りのひとつとして、「喪服を想起させる黒はモードにおけるタブーであり、黒を基調に置いたボロルックはそれゆえ非難を浴びた」というものがあるが、当時のパリ・モードにおいて黒はむしろ多用された色であり、そうした事実はない。

著者: 安城寿子

参考文献

  • le Figaro, “Printemps été 1983 6 jours de mode, 36 collections 4500 modèles”, Janie Samet, 21 octobre 1982
  • 『コム・デ・ギャルソン COMME des GARÇONS』, 川久保玲監修, 筑摩書房, 1986
  • 『服飾文化学会誌 Costume and Textile』Vol.5 No.1, 「川久保玲・初期コレクションの『衝撃』に関する検証 フランス・ジャーナリズムにおける評価を中心に」, 安城寿子, 服飾文化学会, 2005
  • 『The study of COMME des GARÇONS』, 南谷えり子, リトルモア, 2004
  • 『アンリミテッド:コムデギャルソン』, 清水早苗、NHK番組制作班編, 平凡社, 2005

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