2019年06月15日号
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ポストインダストリアリズム

Post-industrialism

「脱工業主義」もしくは「脱工業社会」。文字どおり「工業社会の後に訪れる」社会のことであり、1970年代以降、経済を中心とする分野で広く議論の対象となった。ポストインダストリアリズムに関する代表的な文献は、社会学者ダニエル・ベルによる『脱工業社会の到来』(1973)である。脱工業社会をめぐる議論は、多くの場合「第二次産業(製造業)から第三次産業(サーヴィス業)への移行」という図式に依拠している。ベルもまた、工業社会から脱工業社会への移行は、「財貨生産型経済からサーヴィス型経済への移行」として特徴づけられると述べている。しかしベルはこれに加え、脱工業社会の大きな特徴として「専門職・技術職階層の優位」や「社会における理論的知識の優位」などを挙げている。すなわちベルによる脱工業社会論は、製造業からサーヴィス業への移行という経済面での変化ばかりでなく、科学技術の専門化や新たな技術エリートの台頭といった大きな社会構造の変化を想定している。それゆえこの脱工業社会をめぐる議論は、今日の情報社会における文化や知をめぐる状況について考える上でも多くの示唆に富むものである。なお上記の文脈とは別に、「インダストリアル」という言葉は、スロッビング・グリッスルに端を発するロックおよびノイズ・ミュージックのジャンルを指すことがある。そのため、「ポストインダストリアル(post-industrial)」という言葉は、こうした文脈における「インダストリアル以後」の音楽を指すこともある。

著者: 星野太

参考文献

  • 『脱工業社会の到来』(上下巻), ダニエル・ベル(内田忠夫ほか訳), ダイヤモンド社, 1975

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