2019年12月01日号
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ポストコロニアル建築

Postcolonial Architecture

ポストコロニアル建築とは、ポストコロニアリズムを建築にあてはめた場合、明らかに、もしくは隠れたかたちで帝国主義的背景と結びつけることができる表現様式のことである。ポストコロニアリズムとは、植民地支配が終わったあとも、経済、政治、特に文化の面で非公式に残存する帝国主義の影響を明らかにしようとする思想であり、その性質上必然的に文化的混合性を特色とする。文化人類学、建築、哲学、映画、政治学、社会学、女性学、文学など、さまざまな領域に接触する思想であり、集団的記憶の扱いが大きな論点になる。コロニアル建築が、西洋諸国が主に17世紀から19世紀にかけて植民地地域に本国の建築様式を模して建てた建築様式を意味し、社会関係の非対称性が明白に表われるのが特徴である一方で、ポストコロニアル建築では、さまざまな表現様式に託された意味合いを多角的に観察する必要がある。独立を遂げた元被植民地において、新政府が権威確立の目的で国粋主義や文化的理想像を誇示するために採用する隠喩的表現や、独立後残る植民地遺産に新たに付加される意味合い、地域文化を再獲得する動き、グローバル資本主義によって輸入される表現など、ポスト植民地主義の影響が読み取れるものを総合的にポストコロニアル建築と考えることができるだろう。

著者: 松原慈

参考文献

  • 『日本植民地建築論』, 西澤泰彦, 名古屋大学出版会, 2008
  • 『オリエンタリズム〈上〉〈下〉』, エドワード・サイード(今沢紀子訳), 平凡社ライブラリー, 1993

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