2019年09月15日号
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ポストモダン・ダンス

Post-Modern Dance(Postmodern Dance)

ニューヨークのジャドソン記念教会で上演した自分や仲間の作品を指してイヴォンヌ・レイナーが用いたことに端を発する用語。「ポストモダン・ダンス(ポスト・モダンダンス)」という語には、「モダンダンスの後」に現われたダンスと、「ポストモダン」なスタイルのダンスという二通りの含意があるが、レイナーにおいては前者の意味で用いられた。モダン・ダンスを否定的にとらえる態度や、日常の動作を行なう試みから、ポストモダン・ダンスは「ノン・ダンス」あるいは「ニュー・ダンス」とも呼ばれた。1975年にマイケル・カービーは『TDR』誌にてポストモダン・ダンス特集を組み、この言葉が知られるきっかけを与えた。ダンス研究者のサリー・ベインズは、ポストモダン・ダンスを「分析的」と「隠喩的」に分けた。「分析的」とはレイナー、スティーヴ・パクストン、トリシャ・ブラウン、デヴィッド・ゴードン、ルシンダ・チャイルズ、あるいはグランド・ユニオンらの活動を念頭においており、音楽性や意味、キャラクター化、ムードなどモダン・ダンスが用いた要素を排除した作品を指している。「隠喩的」とはメレディス・モンク、ケネス・キング、ローラ・ディーンらの作品を指し、共同生活の経験を導入したり、武道やフォークダンスの要素を取り入れたり、精神的な表現をダンスに盛り込んだりした作品を意味している。また、「分析的」な作品とは対照的に、衣装、照明、音楽、小道具、キャラクター、ムードといったあらゆる種類の劇場的な諸要素を積極的に用いた。なおマース・カニングハムの活動は、ポストモダン・ダンスに影響を与えた一方、相変わらず伝統的な意味でのダンスを採用していた点で、ポストモダン・ダンスに含めない場合が多い。また、1977年に建築家・批評家のチャールズ・ジェンクスが折衷的でハイブリッドな建築を示そうとして「ポストモダニズム」の語を建築の分野で流行させたが、彼の想定した意味に符合する折衷的という意味での「ポストモダン」なダンスは、上記した作家たちの作品以上に、トワイラ・サープの作品あるいは80年代のいくつかのダンスに当てはまる。

著者: 木村覚

参考文献

  • Terpsichore in Sneakers, Sally Banes, Wesleyan, 1977
  • Terpsichore in Sneakers: Post-Modern Dance, Sally Banes, Wesleyan, 1987
  • Reinventing Dance in the 1960s: everything was possible, Sally Banes ed., University of Wisconsin Press, 2003
  • TDR(Mar. 1975), Vol. 19, No. 1, "Post-Modern Dance Issue: An Introduction" , Michael Kirby

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